中小企業への影響は?図解でわかる新リース会計基準の3つのポイント

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2026年度から適用が開始される「新リース会計基準」について、自社への影響がわからず不安を感じていませんか?この会計基準の改正は、大企業だけでなく多くの中小企業にも関係し、早期の準備が求められます。本記事では、新リース会計基準の概要から、中小企業が押さえるべき3つの重要ポイント、そして今から始めるべき実務対応までを図解を交えてわかりやすく解説します。結論として、新基準ではこれまで費用処理できたリースも原則として資産・負債に計上(オンバランス化)されますが、中小企業向けに簡便的な取扱いも用意されています。まずはこの記事で全体像を掴み、自社に必要な準備を始めましょう。

目次

新リース会計基準とは 2026年度から適用開始

2023年5月、企業会計基準委員会(ASBJ)は「リースに関する会計基準(案)」(企業会計基準公開草案第73号)を公表しました。これが一般に「新リース会計基準」と呼ばれているものです。この新基準は、2026年4月1日以降に開始する事業年度からの強制適用が提案されており、企業の経理・財務に大きな影響を与えることが予想されます。なお、準備が整った企業は早期適用も可能です。

新リース会計基準の最も重要な変更点は、これまでオフバランス処理(貸借対照表に計上しない会計処理)が認められていたオペレーティング・リース契約を含め、原則としてすべてのリース契約を資産・負債として貸借対照表(B/S)に計上(オンバランス化)する点にあります。これにより、企業の財務実態がより正確に財務諸表に反映され、投資家などが企業のリース利用状況を容易に把握できるようになります。

なぜリース会計基準は改正されるのか IFRS第16号との関連

今回のリース会計基準改正の最大の目的は、国際的な会計基準とのコンバージェンス(収斂)です。特に、国際財務報告基準(IFRS)の「IFRS第16号『リース』」や米国会計基準(US-GAAP)との主要な差異を解消し、国内外の企業間での財務諸表の比較可能性を高めることが狙いです。

現行の日本基準では、リース契約を「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分類し、後者は費用処理するだけで貸借対照表には計上されませんでした。この「オフバランス」の取扱いは、多額のリース契約を抱える企業の負債が外部から見えにくいという問題点を指摘されていました。新リース会計基準は、この問題を解決し、グローバルな投資基準に合わせた透明性の高い財務報告を実現するために導入されます。

項目現行の日本基準新リース会計基準(案)
リースの分類ファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類原則として分類を撤廃(単一の会計処理モデル)
借手の会計処理ファイナンス・リースはオンバランス、オペレーティング・リースはオフバランス原則としてすべてのリースをオンバランス(使用権資産とリース負債を計上)
主な目的リース取引の実態に応じた会計処理IFRS第16号とのコンバージェンス、財務諸表の比較可能性向上

新リース会計基準の適用対象となる企業とリース契約

新リース会計基準の適用対象は、以下の通りです。

適用対象企業:
原則として、金融商品取引法の適用を受ける上場企業およびその連結子会社・関連会社が主な対象となります。また、会社法上の大会社も対象に含まれます。一方で、これらに該当しない中小企業については、現行の「中小企業の会計に関する指針」が当面維持される見込みであり、強制適用の対象外となる可能性が高いです。ただし、取引先や金融機関との関係で、中小企業も新基準に準じた対応を求められるケースが想定されます。

適用対象となるリース契約:
新基準では、「リース」の定義がより厳格になります。具体的には、「原資産を識別でき、その使用を支配する権利が一定期間にわたり対価と交換に移転する契約」がリース契約に該当します。この定義に基づき、これまで「業務委託契約」や「サービス契約」として処理されていた契約の一部が、実質的にリース契約であると判断される可能性があります。例えば、特定のデータセンターのサーバーラックを専有的に利用する契約や、特定の車両を長期間にわたり独占的に使用する契約などが該当するケースが考えられます。そのため、企業は自社が締結しているすべての契約を洗い出し、新基準の定義に照らしてリースに該当するかどうかを再検討する必要があります。

【ポイント1】すべてのリースが資産計上 原則オンバランス化へ

オンバランス化のイメージ:使用権資産とリース負債 オペレーティング・リースも原則B/Sに計上(見える化) 現行基準(オペレーティング・リース) 資産の部 負債の部 オフバランスのため 計上なし オフバランスのため 計上なし 新リース会計基準(原則オンバランス) 資産の部 負債の部 使用権資産 (XXX円) リース負債 (XXX円) オペレーティング・リースもB/Sに計上 資産と負債が両建てで同額増加(原則) 短期・少額リース等は例外あり オンバランス化 使用権資産(資産の部) リース負債(負債の部) B/Sのイメージ:現行基準(オフバランス) B/Sのイメージ:新リース会計基準(オンバランス)

新リース会計基準における最大の変更点は、これまでオフバランス処理が可能だったオペレーティング・リースを含め、原則としてすべてのリース契約を資産・負債として貸借対照表(B/S)に計上する「オンバランス化」が求められることです。これにより、企業の財務状況の実態がより明確に財務諸表に反映されることになります。

この変更が、具体的にどのような会計処理の違いを生むのか、詳しく見ていきましょう。

ファイナンスリースとオペレーティングリースの区別がなくなる

現行のリース会計基準では、リース契約を「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の2つに分類し、それぞれ異なる会計処理を行っています。

リース区分会計処理概要
ファイナンス・リースオンバランス(資産計上)解約不能で、リース料総額が物件の購入価額とほぼ同等になる契約。実質的に資産を購入したのと同様とみなされ、リース資産とリース債務をB/Sに計上します。
オペレーティング・リースオフバランス(賃貸借処理)ファイナンス・リース以外のリース契約。一般的な賃貸借契約と同様に扱われ、支払ったリース料を費用として計上するのみで、B/Sには資産・負債として計上されません。

新リース会計基準では、この「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」の区分が原則として廃止されます。借手側は、短期リースや少額リースといった一部の例外を除き、すべてのリース契約について資産と負債を計上する単一の会計処理(オンバランス処理)に統一されることになります。

これにより、例えばこれまで費用処理のみで済んでいたコピー機のリースや社用車のリースなども、B/Sに計上する必要が出てくるため、特にオペレーティング・リースを多用している企業は大きな影響を受けることになります。

貸借対照表(B/S)はどう変わる?使用権資産とリース負債

原則オンバランス化に伴い、貸借対照表(B/S)には新たに「使用権資産」と「リース負債」という勘定科目が登場します。

  • 使用権資産:リース契約によって、特定の資産(リース資産)を一定期間使用する権利を表す資産。B/Sの「資産の部」に計上されます。
  • リース負債:将来支払うべきリース料の総額を、現在価値に割り引いて計算した負債。B/Sの「負債の部」に計上されます。

これまでオフバランスだったオペレーティング・リース契約をB/Sに計上することで、資産と負債が両建てで増加します。その結果、総資産が増加し、自己資本比率や負債比率といった財務指標が悪化する可能性があるため注意が必要です。

図解 使用権資産とリース負債の計上イメージ

オペレーティング・リース契約について、現行基準と新基準でB/Sがどのように変わるのか、具体的なイメージを見てみましょう。

現行基準新リース会計基準
資産の部

(変動なし)

※オフバランスのため計上されない

【追加】使用権資産 XXX円

※リース資産を使用する権利を資産として計上

負債の部

(変動なし)

※オフバランスのため計上されない

【追加】リース負債 XXX円

※将来のリース料支払義務を負債として計上

このように、新基準ではこれまでB/Sに現れなかったリース契約が「見える化」されることになります。

損益計算書(P/L)への影響 減価償却費と支払利息

オンバランス化は、損益計算書(P/L)の費用の計上方法にも変化をもたらします。

現行基準のオペレーティング・リースでは、毎月支払う「支払リース料」をそのまま費用として計上していました。リース期間中は、基本的に毎月定額の費用が発生します。

一方、新リース会計基準では、「支払リース料」という費目はなくなり、代わりに以下の2つの費用が計上されます。

  • 減価償却費:資産計上された「使用権資産」を、リース期間にわたって規則的に費用配分したもの。
  • 支払利息:「リース負債」の残高に対して発生する利息相当額。

この変更により、費用が計上されるタイミングと金額の構成が変わります。支払利息は、負債残高の大きいリース期間の初期に多く計上され、返済が進むにつれて減少していきます。そのため、減価償却費が定額であっても、費用の合計額はリース期間の前半に厚く、後半に少なくなる傾向があります。

現行基準(オペレーティング・リース)新リース会計基準
費用項目支払リース料減価償却費 + 支払利息
費用計上の特徴リース期間中、原則として定額リース期間の前半に費用が多く計上される傾向(費用が前倒しになる)

また、営業利益の算出上、「支払リース料」は販売費及び一般管理費に含まれますが、新基準の「支払利息」は営業外費用として扱われます。これにより、営業利益やEBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)が増加する効果が見込まれ、金融機関からの融資判断などに影響を与える可能性も考えられます。

【ポイント2】中小企業向けに用意された簡便的な取扱い

重要性が乏しいリース契約の「簡便な取扱い」の全体像 すべてのリース契約 新リース会計基準の対象 例外の要件に該当? 短期リース または 少額リース 判定基準(いずれかに該当) 短期リース リース期間が12ヶ月以内 延長オプションも含め実質で判断 例)3ヶ月サーバー、6ヶ月測定機器 等 少額リース 原資産が新品の場合の価値が少額 資産1単位ごとに判断(総額ではない) 例)PC/タブレット、什器 等 判定結果に応じた会計処理 はい いいえ 簡便な会計処理(賃貸借処理) ・使用権資産・リース負債の計上は不要(B/S) ・支払リース料を費用計上(P/L) 重要性の原則に基づく例外的取扱い オンバランス(原則) ・使用権資産の認識(B/S) ・リース負債の認識(B/S) 例外要件に該当しない場合 注意:短期リースは実質的なリース期間で判断。少額リースはリース料総額ではなく原資産の新品価値で判断。

新リース会計基準では、原則としてすべてのリース契約を資産・負債として貸借対照表(B/S)に計上する「オンバランス化」が求められます。しかし、すべてのリース契約に対して厳密な会計処理を行うことは、特に中小企業にとって大きな実務負担となりかねません。そこで、企業の事務負担を軽減するため、重要性が乏しい特定のリース契約については、例外的に簡便な会計処理を適用することが認められています。

この簡便な取扱いを適用できる場合、使用権資産やリース負債を計上する必要はなく、従来通り支払ったリース料を費用として損益計算書(P/L)に計上する「賃貸借処理」を継続できます。ここでは、その具体的な要件である「短期リース」と「少額リース」について詳しく解説します。

重要性が乏しいリース契約の簡便な会計処理

会計には「重要性の原則」という考え方があります。これは、財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えないような重要性の低い事象については、煩雑な会計処理によらず、簡便な方法で処理してもよいとする原則です。新リース会計基準における簡便な取扱いも、この原則に基づいています。

例えば、数日間だけ借りるイベント機材や、一台数万円のオフィス家具など、金額的にも期間的にも重要性が低いリース契約まで、すべて資産計上するのは非効率です。こうした実務上の負担を考慮し、財務情報全体の信頼性を損なわない範囲で、例外的な処理が認められているのです。この例外規定を正しく理解し活用することが、新基準へスムーズに対応するための鍵となります。

短期リースと少額リースとは 具体的な基準を解説

簡便な会計処理が認められるのは、具体的に「短期リース」と「少額リース」のいずれかに該当する契約です。これらの基準を満たすリースは、使用権資産とリース負債を計上せず、支払リース料として費用処理することが可能です。それぞれの定義と具体例を詳しく見ていきましょう。

短期リースの定義と具体例

短期リースとは、リース期間が12ヶ月以内であるリースを指します。ここでいう「リース期間」とは、契約書上の期間だけでなく、借手がリースを延長する選択権を持っており、その行使が合理的に確実と見込まれる期間も含めて判断する必要があります。したがって、形式的に1年契約となっていても、実質的に毎年更新することが前提となっている契約は、短期リースに該当しない可能性があるため注意が必要です。

短期リースに該当する契約の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 決算期や繁忙期のみ3ヶ月間レンタルするサーバー
  • 特定のプロジェクトのために6ヶ月間だけ借りる測定機器
  • 展示会のために数日間だけレンタルするディスプレイや什器

少額リースの定義と具体例

少額リースとは、個々のリース資産が少額であるリースを指します。この判断は、企業全体の規模で判断するのではなく、リース対象となる資産そのもの(原資産)が新品であった場合の価値で判断するのがポイントです。たとえ企業が多数の少額な資産をリースしていても、一つひとつの資産が少額であれば、それぞれを少額リースとして処理できます。

具体的な金額基準については、今後の実務指針で明確化される見込みですが、IFRS第16号では5,000米ドル相当額が例示されています。国内では、法人税法上の少額減価償却資産の基準(取得価額30万円未満)などが一つの目安となると考えられます。

短期リースと少額リースの主な違いをまとめると、以下のようになります。

項目短期リース少額リース
判断基準リース期間(12ヶ月以内)リース資産の価値(原資産が新品の場合の価値が少額)
具体例
  • プロジェクト用の短期PCレンタル
  • 季節的な倉庫の賃借
  • イベント機材のレンタル
  • PC、タブレット、スマートフォン
  • オフィス用のコピー機、複合機
  • 事務机、椅子などの什器
注意点実質的なリース期間が12ヶ月を超えないかどうかの判断が必要。リース料の総額ではなく、リース資産1単位ごとの価値で判断する。

【ポイント3】新リース会計基準導入に向けた実務対応と準備

新リース会計基準導入に向けた実務対応(3ステップ) 契約の洗い出し → システム対応 → 影響額の試算と説明 STEP 1 契約の洗い出し・ 管理見直し 全拠点・部署を網羅して把握 契約書・更新状況を確認 管理台帳を整備 (基本/期間/料/会計情報) 非リース要素を分離 例: 保守料などはリース料と分離 STEP 2 会計システムの 対応と改修 ベンダーに対応状況を確認 選択肢: アップデート/専用システム/ Excel(少件数時) 早期に方針決定し要件定義・テスト 導入までの工期を逆算して着手 STEP 3 影響額の試算と 関係者への説明 B/Sオンバランス化の影響を試算 指標: 自己資本比率↓ ROA↓ 負債比率↑ EBITDA↑ 経営陣・金融機関・株主・取引先へ説明 形式的な変動である旨を丁寧に周知 導入までの目安スケジュール 2025 2026 今から準備・方針決定 適用開始 2026年度 契約の洗い出し・管理台帳の整備 システム対応の検討・実装 影響額試算とステークホルダー説明

新リース会計基準の適用開始は2026年度からとされていますが、その影響は会計処理だけに留まりません。契約管理のフローや業務システム、さらには財務戦略に至るまで、広範囲にわたる見直しが求められます。ここでは、新基準の導入に向けて企業が具体的に進めるべき実務対応と準備について、3つのステップに分けて解説します。

リース契約の洗い出しと管理方法の見直し

新基準への対応は、まず自社に存在するすべてのリース契約を正確に把握することから始まります。これまでは費用として処理していたオペレーティングリースも資産計上の対象となるため、本社だけでなく各拠点や部署が個別に契約している賃貸借契約なども含め、網羅的にリストアップする必要があります。契約書の所在が不明なものや、口頭での更新が繰り返されているような契約も漏れなく確認することが重要です。

洗い出しにあたっては、以下の項目を整理し、「リース契約管理台帳」として一元管理できる体制を構築することをおすすめします。

管理項目確認内容の具体例
契約の基本情報契約部署、リース会社名、契約番号、契約日、リース物件(資産の種類や型番)
リース期間関連リース開始日、リース終了日、解約不能期間、延長や再リースの選択権の有無
リース料関連リース料総額、毎月の支払額、支払スケジュール、固定か変動か
会計処理関連情報購入選択権(オプション)の有無とその条件、残価保証の有無、非リース要素(保守料など)の有無と金額

これらの情報を整備することで、どの契約が新基準の対象となるのか、また会計処理に必要な情報が何かを明確にすることができます。特に、契約書の中に保守サービス料などが含まれている場合、原則としてリース料とそれ以外の費用(非リース要素)を分離して会計処理する必要があるため、契約内容の精査が不可欠です。

会計システムの対応と改修の検討

新リース会計基準では、リース契約ごとに「使用権資産」と「リース負債」を計上し、それぞれ減価償却と利息計算を行うという、従来よりも複雑な会計処理が求められます。特にオペレーティングリースを多用してきた企業にとっては、会計処理の負担が大幅に増加する可能性があります。

そのため、現在利用している会計システムが、新リース会計基準に標準で対応しているかを確認することが次の重要なステップとなります。まずは会計システムの開発元(ベンダー)に問い合わせ、対応状況やバージョンアップの予定を確認しましょう。

システムの対応状況に応じて、以下のような選択肢が考えられます。

  • システムのバージョンアップ・機能追加: 現在のシステムがアップデートで対応可能な場合。最もスムーズな移行が期待できます。
  • リース資産管理システムの新規導入: 会計システムとは別に、リース契約の管理と会計処理に特化した専用システムを導入する方法です。契約件数が多い場合に有効です。
  • 手作業での管理(Excelなど): リース契約が数件程度と少ない場合は、Excelなどで管理台帳と計算シートを作成して対応することも可能ですが、手作業によるミスや属人化のリスクが伴います。

システムの改修や新規導入には、要件定義から開発、テスト、導入まで相応の期間を要します。適用開始が迫ってから慌てることのないよう、できるだけ早い段階で方針を決定し、ベンダーとの協議を開始することが賢明です。

財務諸表への影響額の試算と関係者への説明

最後のステップは、新基準の適用によって自社の財務諸表にどのような影響が出るのかを事前に試算し、関係者への説明準備を整えることです。特に、これまでオフバランス処理されてきたオペレーティングリースが資産・負債として計上される(オンバランス化)ことで、貸借対照表(B/S)が大きく変動します。

総資産と総負債が同時に増加するため、以下のような主要な経営指標に影響が及ぶ可能性があります。

経営指標影響の方向性主な理由
自己資本比率低下する可能性自己資本額は変わらず、分母である総資産が増加するため。
ROA(総資産利益率)低下する可能性利益額への影響が軽微な場合、分母である総資産が増加するため。
負債比率上昇する可能性リース負債の計上により、負債総額が増加するため。
EBITDA増加する可能性これまで営業費用だった支払リース料が、営業費用である減価償却費と営業外費用である支払利息に分かれるため。

これらの指標の変化は、金融機関からの借入条件(財務制限条項など)や取引先との契約条件に影響を与える可能性があります。そのため、試算結果をもとに、経営陣、金融機関、株主、主要な取引先といったステークホルダーに対し、事前に十分な説明を行うことが極めて重要です。「これは会計基準の変更に伴う形式的な変動であり、企業の返済能力や収益性といった実質的な経営実態に変化はない」という点を丁寧に伝えることで、無用な誤解や懸念を避けることができます。

まとめ

本記事では、2026年度から適用が開始される新リース会計基準について、中小企業への影響を中心に3つのポイントを解説しました。最大の変更点は、これまでオフバランス処理が可能だったオペレーティングリースを含め、原則としてすべてのリース契約が資産(使用権資産)と負債(リース負債)として貸借対照表に計上される「オンバランス化」です。

この改正は、国際的な会計基準であるIFRS第16号との整合性を図り、投資家などが企業の財務実態をより正確に把握できるようにすることを目的としています。これにより、企業の資産・負債総額が増加し、自己資本比率などの財務指標に影響が出る可能性があります。

ただし、中小企業の実務負担を軽減するため、「短期リース」や「少額リース」といった重要性の乏しい契約については、従来通りの簡便な会計処理を継続することが認められています。まずは自社のリース契約がこの例外規定に該当するかを確認することが重要です。

新基準の適用に向けて、早期に自社が結んでいるリース契約の全体像を把握し、会計システムの対応や財務諸表への影響額の試算といった準備を計画的に進めていきましょう。

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